和名「奇想天外(きそうてんがい)」「サバクオモト」の名で知られる、ナミブ砂漠固有の唯一無二の裸子植物。命名権威は Hook.f.(1862 年公表)、属はオーストリアの植物学者 Friedrich Welwitsch への献名で、種小名 mirabilis は「驚くべき」を意味する。ウェルウィッチア科・属ともに本種 1 種のみの単型分類群で、最も近縁なのはマオウ属(Ephedra)やグネツム属。地表に半埋没した塊状の幹から生涯わずか 2 枚の帯状葉だけを伸ばし続け、葉長は 2〜4m、寿命は 1500 年を超え個体によっては 2000 年に達するとも推定される「生きた化石」。CITES 附属書 II 掲載。
育て方
置き場所・日当たり
ナミブ砂漠の沿岸 fog desert で強烈な直射と海からの霧を浴びて育つ。生育期は屋外で終日直射に当てると、葉色が締まり姿が引き締まる。日本の真夏は遮光30〜40%と棚上での通風確保で蒸れと葉先の焼けを抑える。湿度に弱いので地面直置きを避け風を通したい。冬は5℃以上を保てる明るい室内窓辺で乾かし気味に管理。常緑なので落葉せず、休眠期も葉は維持される。
水やり
砂漠の霧をシミュレートし生育期は表土が乾いたら鉢底まで浸す。受け皿に水を残さない。冬は控えめに月1〜2回、葉と用土を完全に乾かさない程度に。
用土
水はけと深さを最優先、無機質中心。赤玉土小粒:軽石:鹿沼土小粒 = 4:4:2。タップルートが極めて長く伸びるため深鉢必須、長鉢や蘭鉢が理想。
肥料・活力剤
生育期に薄めた液肥を月1回、または緩効性化成肥料を植え替え時にひとつまみ。葉先の伸長を急かさず、塊茎をゆっくり太らせるイメージで控えめに。
温度・冬越し
生育適温22〜35℃、最低5℃。原産地ナミブの沿岸は年較差が小さく真冬の夜間でも10℃前後。乾いていれば短時間の低温には耐えるが、湿土+低温は根の腐敗を招く。室内窓辺で乾燥越冬。
実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
は直接商品ページ、他は学名検索リンク。在庫は流動的なので、検索リンク先で改めて確認してください。
播種前の処理
種子は薄い羽状の翼に覆われ Aspergillus niger 胞子で汚染されやすいため、翼を取り除いてから殺菌剤(ベンレート水和剤・ダコニール1000など)と活力剤(メネデール等)を使用希釈率で混ぜた液に、種子を半日程度浸ける。
用土
実生用は無機質100%が安全。赤玉土細粒:軽石細粒:鹿沼土細粒 = 4:4:2、または鹿沼土単用。事前に熱湯やレンジで殺菌しタップルートが伸びる深さを確保した深鉢を用意する。
播種方法
最初から最終鉢級の深鉢に直播き推奨。本種はタップルートが1ヶ月で20cm近く伸び、移植で先端を傷めると致命的。覆土は1cmほど。
光・温度
明るい日陰で25〜30℃をキープ。発芽は7〜21日。発芽率は鮮度次第で大きく変動するが、新鮮な種なら発芽はおおむね安定する。加温マットを併用し温度を安定させる。
水やり
鉢底から1〜2cmの腰水で湿度を保つ。発芽が揃ったら腰水を上げ、表土が乾いたら鉢底まで浸す方式に切り替える。
肥料
発芽直後は不要。本葉が動き始めてから規定の倍以上に薄めた液肥を月1〜2回、ごく控えめに。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開
子葉2枚+本葉2枚で生涯固定。
腰水卒業
発芽後1〜2ヶ月で段階的に。
初回植え替え
可能な限り避ける。最初から深鉢で。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: 種子付着の Aspergillus niger、過湿
- 予防: 翼除去、殺菌、無機質用土、強い通風
徒長
- 原因: 生涯2枚の葉で構成される本種では概念がやや異なる
- 予防: 葉が薄く伸びすぎる傾向があれば光量を上げ風を当てる
種が発芽しない
- 原因: 種の鮮度切れ、温度不足
- 予防: 現地採種の新鮮な種、25〜30℃を加温マットで維持
注意点
タップルート損傷で枯死するため移植を極端に嫌う。最初から深鉢に直播きすること。CITES 附属書 II 掲載種で生株の国際取引には許可が必要。
