南アフリカ・ナマクアランドの石英礫地に自生する小型メセン。ふたつの葉が融合した倒卵形のボディ(直径 1〜2cm)の先端が二股に割れ、その形態が「二葉」を意味する種小名 bilobum の由来となっている。秋(9〜11月)に株の中心から鮮やかな黄花を咲かせる。生育型は冬型で、秋から春にかけて成長し、初夏以降は外皮(旧葉)を干からびたまま纏って夏を越す「脱皮」という独特の更新サイクルを持つ。Marloth が採集し N.E. Brown が 1922 年に記載した種で、POWO では accepted name として収載されている。
育て方
置き場所・日当たり

ナマクアランドは地中海性気候の影響を受ける強光・低湿度の地帯で、本種も十分な日照を好む。生育期(秋〜春)は屋外の直射か、明るい南向き窓辺に置く。日本の梅雨〜盛夏は株が休眠しており高温多湿に弱いため、雨のかからない軒下や室内の明るい棚へ移してほぼ断水で管理する。通気の確保がカビ予防の要で、鉢を地面に直置きせず棚上に置き、空気が動く環境を作る。冬の室内管理では窓辺の最低気温が 3℃を下回らないよう注意する。
水やり
秋〜春の成長期は用土が完全に乾いてからたっぷり与え、その後しっかり乾かすメリハリで管理する。脱皮中(旧葉が干からびていく時期)は水を控え、新葉が旧葉から顔を出してから再開する。初夏から晩夏は原則断水とし、月に 1〜2 回霧吹き程度にとどめる。
用土
水はけ最優先の無機質中心。赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石 = 4:3:3 を基本とし、小粒な体型に合わせて粒は細かめを選ぶ。
肥料・活力剤
成長期に規定の 2 倍以上に薄めた液肥を月 1 回程度与える程度で十分。与えすぎはボディの徒長と根腐れに直結する。
温度・冬越し
生育適温 10〜25℃、最低 3℃が目安。乾燥していれば 0℃近くまで耐えるが、湿土+低温は根を傷める。盛夏の断水休眠中は多少の高温も乗り切るが、40℃超の密閉空間は避ける。
実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
播種前の処理
殺菌剤(ベンレート水和剤・ダコニール1000など)と活力剤(メネデール等)を混ぜた液に半日浸ける。保管状態によって発芽力の維持期間は変わるため、入手後はなるべく早めに播種する。
用土
赤玉土細粒:鹿沼土細粒:バーミキュライト = 1:1:1 で、電子レンジか熱湯で事前殺菌する。極小粒なボディに合わせて表面を平らに整える。
播種方法
覆土なしの表面播き。種子が小さいので湿らせた爪楊枝で 1 粒ずつ置くと均一に並べやすい。種子間隔は 5mm 以上を目安にする。
光・温度
明るい日陰で 18〜22℃を安定維持する。発芽日数は 7〜21 日。新鮮な種であれば発芽はおおむね安定する部類。
水やり
鉢底から 1〜2cm の腰水管理。発芽が揃うまで乾かさないことを優先し、その後水位を段階的に下げる。
肥料
発芽直後は不要。本葉が展開してから規定の倍以上に薄めた液肥を月 1〜2 回、ごく控えめに与える程度にとどめる。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開(〜2ヶ月)
腰水を続け、明るい日陰で管理する。
腰水卒業(2〜4ヶ月目)
水位を段階的に下げ、底面給水へ切り替える。
初回植え替え(1〜2年目)
根が鉢底まで回ったら無機質用土へ移す。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: 用土の雑菌、過湿、通気不足
- 予防: 用土の殺菌、腰水をこまめに換える、サーキュレータで通気を確保
徒長
- 原因: 光量不足
- 予防: 発芽後すぐ LED の距離を縮める、または屋外の明るい日陰へ移す
種が発芽しない
- 原因: 種の鮮度切れ、温度不足(冬播きの低温管理)
- 予防: 信頼できる入手先を選ぶ、加温マットで 18〜22℃を安定させる
注意点
脱皮中の水やりは旧葉が水を吸い、新葉の成長を妨げる。

