ナミビア南西部のカラス州(大ナマクアランド)から南アフリカ北ケープ州のリヒターズフェルト・ナマクアランド北部にかけて、岩礫地や岩の割れ目に自生する小型のコーデックス。基礎異名は Lindley が 1845 年に記載した Ceradia furcata、現行の学名 Othonna furcata (Lindl.) Druce は 1917 年の組替え。種小名は「分岐した(forked)」の意で、枝が二叉に分かれて広がる樹形に由来する。地中の塊根(径 9cm 前後)から灰白色の細い枝を立ち上げ、樹高 50〜80cm のミニチュアの樹のような姿になる。秋〜春の生育期にだけ小さな多肉質の葉と黄色い頭花を出し、夏は葉を落として完全休眠する 冬型。SANBI Red List では Least Concern だが、密猟による国際取引が問題視され「Sensitive species」に指定されている。
育て方
置き場所・日当たり

自生地は年降水量がごく少ない半乾燥地で、岩の隙間や砂礫まじりの斜面に根を下ろす。生育期の秋〜春は屋外で日差しをしっかり当てて葉と枝を締めると、徒長を防いで本来のコンパクトな樹形になる。日本の真冬の弱い日差しは最大限取り込みたいので、南向きの屋外や明るい窓辺が安心。問題は 夏の休眠期 で、置き場所選びの主役は「いかに涼しく、風を通すか」。直射を避けた明るい日陰(北側軒下や 50% 程度の遮光ネット下)に移し、棚上で送風する。冬は最低気温が 5℃ を下回り始める時期から屋内の明るい窓辺へ取り込む。
水やり
秋(9〜10月)に最低気温が 20℃ を下回り葉が動き出したら少量から再開、生育期は 2 週間に 1 回ほどたっぷりと与える。春に葉が黄変・落葉したら断水、夏は完全に乾かす。「乾いて見えるから」と夏に与えるのが腐敗の最大原因。
用土
水はけ最優先で無機質中心。赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石 = 3:3:4 と軽石比率を高めて乾きを稼ぐ。岩礫地由来の種なので、表土に粗砂や桐生砂を敷くと幹際の蒸れを抑えやすい。
肥料・活力剤
生育期の秋〜春に倍以上に薄めた液肥を月 1 回、または緩効性肥料を植え替え時に少量。元来ゆっくり育つ種で、与えすぎは枝間延びと幹の質感低下を招く。
温度・冬越し
生育適温 15〜25℃、最低 5℃ が目安。30℃ を超え始めると休眠へ入る。湿土+低温は致命傷で、夏の高温多湿は 冬越しより難しい。6〜9月は遮光・通風・断水を徹底する。

実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
播種前の処理
殺菌剤(ベンレート水和剤・ダコニール1000など)と活力剤(メネデール等)を使用希釈率で混ぜた液に、種子を半日程度浸ける。沈まない種は劣化が進んでいるサイン。綿毛つきの細かい瘦果は保管状態に左右されやすい。
用土
実生用は細粒・無菌寄りに。赤玉土細粒:鹿沼土細粒:バーミキュライト = 1:1:1 を熱湯やレンジで事前殺菌。表面に細かい川砂を薄く敷くと種子の固定と通気を両立できる。
播種方法
覆土しないか、種子が見え隠れする程度のごく薄い覆土。綿毛が風で飛びやすいので、湿らせた用土表面に丁寧に置く。
光・温度
明るい日陰で 15〜22℃ を保つ。冬型なので 25〜30℃ で加温すると発芽が乱れる。日本では 9〜11 月の秋播きが基本。発芽は 10〜30 日、続いて 1〜2 か月にわたって不揃いに続く。発芽率は鮮度次第で大きく変動するが、新鮮な種なら発芽はおおむね安定する。
水やり
鉢底 1〜2cm の腰水。最初の 2〜3 週間は乾かさず、発芽が揃ってきたら段階的に水位を下げる。
肥料
発芽直後は不要。本葉展開後に規定の倍以上に薄めた液肥を月 1〜2 回、ごく控えめに。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開
腰水継続、明るい日陰で。
腰水卒業
1〜2 か月かけて段階的に。
初回植え替え
1〜2 年目、根が回ってから秋に。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: 過湿、雑菌、通気不足
- 予防: 用土殺菌、腰水の水換え、サーキュレーターで通気を確保
徒長
- 原因: 光量不足。冬型は秋〜春の太陽が低く光量を稼ぎにくい
- 予防: 室内なら LED を近距離、晴天時は屋外の明るい日陰へ移す
種が発芽しない
- 原因: 鮮度切れ、温度が高すぎる
- 予防: 新鮮な種を 15〜22℃ で播く。25〜30℃ の加温マットはかえって発芽を抑制する
夏の高温で停止・腐敗
- 原因: 休眠期の夏に水を与える、風通しの悪い高温多湿の場所に置く
- 予防: 春に葉が黄変したら断水、夏は遮光と通風を最優先。エアコンの効いた室内退避も有効
注意点
野生株の流通は密猟由来の可能性があり、実生株を選ぶのが安心。





