マダガスカル北部・アンカラナ国立公園周辺の石灰岩 tsingy(ツィンギー) 地帯にごく限定して自生する、ゴマ科ウンカリーナ属の希少種。命名権威は Ihlenfeldt, 1967 年で、種小名は産地のアンカラナ地域に由来する。樹高 1〜2m、葉は属内では特に深く掌状に切れ込み、夏に黄色の大輪 5 弁花を咲かせる。属内で唯一の北部産種で、他の Uncarina(南西部の砂質土壌)とは生育環境が大きく異なり、Ankarana の鋭い石灰岩塔の隙間や麓に根を下ろす。鉤付き果実は属の共通特徴。流通量は属内で最も少なく、地質と分布の特殊性ゆえコレクター好みの実生(みしょう)種。
育て方
置き場所・日当たり

アンカラナ国立公園の石灰岩 tsingy の隙間や麓で、強い日射と顕著な乾季を経験する夏型樹木。生育期は屋外で終日直射に当てると、深く切れ込んだ葉が引き締まって展開し、花付きも安定する。日本の真夏は遮光 20〜30% で軽く葉焼けを防ぎ、棚上で風通しを確保する。冬は雨を避けて 8℃ 以上を保てる明るい室内窓辺へ取り込み、乾燥越冬させる。
水やり
生育期は表土が乾いてからたっぷり、その後しっかり乾かすメリハリで管理する。本種は石灰岩地帯由来でアルカリ寄りの環境にも適応するが、過湿に弱いのは他の Uncarina と同じ。秋以降は徐々に水を切り、冬は月 1 回程度の軽い霧吹きに留める。
用土
水はけ最優先で無機質中心に組む。赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石 = 4:3:3 が基本。石灰岩産種なので、苦土石灰をごく少量混ぜて pH をやや上げると本来の生育環境に近づく。深鉢で根を真下に伸ばす。
肥料・活力剤
生育期に薄めた液肥を月 1 回、または緩効性肥料を植え替え時に少量混ぜる。本種はゆっくり太る種で、与えすぎは枝の徒長を招くだけなので控えめに。
温度・冬越し
生育適温 22〜35℃、最低 8℃ が目安。マダガスカル北部の温暖な気候出身で寒さに弱く、5℃ を切ると枝先が傷む。秋に葉が落ち始めたら早めに水を切り、明るい室内窓辺で乾燥越冬。

実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
播種前の処理
殺菌剤(ベンレート水和剤・ダコニール1000など)と活力剤(メネデール等)を使用希釈率で混ぜた液に、種子を半日程度浸ける。浮き続けるものは劣化の兆しが強い。ゴマ科特有の硬い種皮を持つため、スカリフィケーション(やすりで種皮に軽く傷を入れる)を行うと吸水が改善する。
用土
実生用は細粒・無菌寄りに組む。赤玉土細粒:鹿沼土細粒:バーミキュライト = 1:1:1 で、熱湯やレンジで事前殺菌しておく。
播種方法
覆土なし、または種子が見え隠れする程度のごく薄い覆土に留め、種子間隔は 1cm 以上空ける。
光・温度
明るい日陰で 25〜30℃ を安定キープ。発芽は 10〜30 日、流通量が極めて少なく古い種に当たる確率が高いので加温して気長に待つ。
水やり
鉢底 1〜2cm の腰水管理。最初の 2〜3 週間は乾燥させず、発芽が揃ったら段階的に水位を下げる。
肥料
発芽直後は不要。本葉展開後に規定の倍に薄めた液肥を月 1〜2 回。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開
腰水継続、強光は避ける。
腰水卒業
1〜2ヶ月かけて段階的に。
初回植え替え
1〜2 年目、根が回ってから。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: 過湿、雑菌、通気不足
- 予防: 用土殺菌、腰水の水換え、サーキュレーターで通気確保
徒長
- 原因: 光量不足
- 予防: 発芽後すぐに LED 距離を近づける、または屋外の明るい日陰へ移す
種が発芽しない
- 原因: 種の鮮度切れ、温度不足、種皮が硬く吸水できていない
- 予防: 流通量が極小なので信頼できる入手元から鮮度の良い種を選び、軽くスカリフィケーション、加温マットで 25〜30℃ を維持
注意点
成熟した果実は鋭い鉤を備え、衣類や指に強くひっかかる。剪定や種採取の際は革手袋を着用する。




