南アフリカ東ケープ州、ポート・エリザベス〜ユーテンハーグ周辺の乾いた谷底ブッシュベルドにのみ自生するソテツ目ザミア科の裸子植物。和名はヒメオニソテツ(姫鬼蘇鉄)。樹高は約 0.9m と属内では小型で、強く反曲する灰青〜銀色のロゼット状の葉と、鋭い棘状突起へ縮退した小葉が独特の姿をつくる(種小名 horridus=とげだらけ)。CITES 附属書 I・IUCN Endangered で、生株の入手は登録票必須・極めて高額。鮮烈な銀青色の葉姿から、エンセファラルトス属のなかでも最も人気のある一種。
育て方
置き場所・日当たり

東ケープの開けた岩稜や谷底ブッシュベルドで終日強光を浴びて育つ完全な陽性植物で、生育期は屋外で直射に当てるほど葉の銀青色が締まり、葉軸も短く硬く仕上がる。日陰に置くと色が緑にぶれ、葉が伸びて棘の質感が崩れるので、遮光は日本の真夏でも30%以下に抑えたい。鉢内のムレに弱いため、地面直置きを避け棚やラックで風を通す。冬は雨を避けた明るい室内窓辺へ取り込み、休眠というより低活動で越冬させる。
水やり
生育期は表土がしっかり乾いてからたっぷり、受け皿には水を残さない。秋から徐々に絞り、冬は乾燥気味に月1〜2回程度。湿土+低温は致命傷。
用土
水はけ最優先で無機質中心。赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石 = 3:3:4が目安。直根性で根が深く伸びるため、深鉢で根を真下に走らせると安定する。
肥料・活力剤
生育期に薄めた液肥を月1回、または緩効性化成肥料を植え替え時に少量。極めて成長が遅いので濃く与えても太らず、徒長と根傷みを招くだけ。
温度・冬越し
生育適温22〜32℃、最低5℃。原産地でも冬は短時間の軽い霜に当たる気候で、乾燥していれば0〜5℃の短時間にも耐える報告がある。湿土+低温は腐敗するため、断水寄りで管理し明るい室内窓辺で越冬。

実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
播種前の処理
赤い肉質の種衣(サルコテスタ)は腐敗の原因になるため、軽く水に浸して柔らかくした後に取り除く。殺菌剤(ベンレート水和剤・ダコニール1000など)と活力剤(メネデール等)を使用希釈率で混ぜた液に、種子を半日程度浸ける。沈まない種は鮮度や受粉不良の目印。発芽には 25〜32℃ の安定した高温が必要。
用土
実生用は無機質単体寄り。軽石細粒主体、または赤玉土細粒:軽石 = 1:2。直根が深く伸びるので必ず深鉢を使う。事前に熱湯やレンジで殺菌しておく。
播種方法
種子は横向きに寝かせて置くのが鉄則。裂け目を上下にすると発根が乱れる。覆土はごく薄く、種子の上半分が見える程度に留める。
光・温度
明るい日陰で25〜30℃を安定維持。加温マットは必須レベル。発芽は1〜6ヶ月と幅広く不揃いで、3ヶ月音沙汰なくても捨てずに気長に待つ。
水やり
鉢底1〜2cmの腰水管理。腐敗リスクが高いので水換えはこまめに。発芽が始まったら水位を徐々に下げる。
肥料
発芽直後は不要。本葉(羽状葉)が展開してから規定の倍以上に薄めた液肥を月1回ごく控えめに。成長が遅いので濃く与えない。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開
子葉→羽状本葉の順に展開。
腰水卒業
3〜6ヶ月かけてゆっくり。
初回植え替え
2〜3年目、深鉢に直根を伸ばす。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: サルコテスタの残留、過湿、雑菌
- 予防: 肉質外皮を完全除去、用土殺菌、腰水の水換えを徹底、サーキュレーターで通気確保
徒長
- 原因: 光量不足
- 予防: 発芽後は強い光に慣らし、棘の硬さと葉の銀青色を引き出す。屋外の明るい場所か高出力LED必須
種が発芽しない
- 原因: 鮮度切れ、温度不足、発芽期間の見切り
- 予防: 信頼できる入手先で新鮮種を確保、加温マットで25〜30℃を安定維持、最低6ヶ月は捨てずに待つ
注意点
CITES 附属書 I・国内では種の保存法の国際希少野生動植物種に指定。生株の譲渡には登録票必須で、種子から育てた個体も成株後は同じ規制対象。葉の棘は鋭く扱いに革手袋必携。種子に強い毒性があるため、子供やペットからは遠ざけたい。

