南アフリカ・東ケープ州の半乾燥灌木地に自生する小型ロゼット種。葉先の透明な「窓」から光を取り込む形態を持ち、自生地では葉の大部分を砂礫に埋め、窓だけを地表に出して強い日射と乾燥をしのぐ。Baker が1870年に記載し、流通名「オブツーサ」で親しまれてきた系統の中核に位置する。多くの変種(var. truncata、var. pilifera ほか)を持ち、形質差の大きさも実生(みしょう)の楽しみのひとつ。Manning et al. (2014) の分子系統解析以降、旧ハオルチア属はハオルチア・ハオルチオプシス・ツリスタの3属に分割され、本種はハオルチア属(狭義)に留まる。
育て方
置き場所・日当たり

自生地では灌木の根元や岩陰に半埋没して育つため、強い直射は本来の生育環境ではない。日本の真夏(30℃超)は半休眠に入り、強光と高温の重なりで葉が赤茶けて窓が濁る。3〜5月と9〜11月の春秋成長期は50%程度の遮光下で柔らかな光を当て、真夏は遮光率を上げるか明るい日陰へ移す。室内ではレースカーテン越しの東〜南東窓が扱いやすい。屋外管理の場合は棚上で風通しを確保し、地面直置きを避ける。冬は無加温の明るい室内窓辺で十分。
水やり
春秋の成長期は用土が乾いてからたっぷり与え、表土が乾く周期で繰り返す。盛夏と真冬の半休眠期は控えめに、月1〜2回軽く湿らす程度に絞り、葉の張りで状態を読む。
用土
水はけと保水のバランス重視。赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石 = 4:3:3 を基本に、細根性なので細粒寄りに調整する。腰高鉢で乾湿のメリハリを付けると窓が澄む。
肥料・活力剤
成長期に薄めた液肥を月1〜2回、規定の倍以上に薄めて与える程度で十分。多肥は葉が間延びし、葉色も鈍くなる。植え替え時にマグァンプKを少量混ぜれば追肥はほぼ不要。
温度・冬越し
生育適温15〜28℃、最低3℃が目安。乾いていれば0℃近くまで耐えるが、湿土+低温で根が傷む。真夏は半遮光と通気で乗り切り、真冬は明るい室内窓辺で乾燥越冬させる。
実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
播種前の処理
殺菌剤(ベンレート・ダコニール等)と活力剤(メネデール等)を混ぜた液に半日浸ける。採取後1年で発芽力が落ちやすく、入手後は早めに播種する。
用土
実生用に細粒・無菌寄りの用土を別に用意。赤玉土細粒:鹿沼土細粒:バーミキュライト = 1:1:1 で、電子レンジか熱湯で事前殺菌しておく。表面を平らに整えると、微粒種子が均一に乗る。
播種方法
ほぼ覆土なしの表面播きが基本。微粒で散らばりやすいので、湿らせた爪楊枝の先で1粒ずつ置く方法が置きやすい。種子間隔は5mm以上空ける。
光・温度
明るい日陰で22〜28℃を安定維持する。発芽日数は7〜21日。鮮度の良い種子であれば発芽は易〜中程度に収まる。
水やり
鉢底から1〜2cmの腰水管理。最初の3〜4週間は乾かさないことを優先し、発芽が揃ってきたら水位を段階的に下げる。
肥料
発芽直後は不要。本葉が展開してから薄めた液肥を月1〜2回、規定の倍以上に薄めてごく控えめに与える程度で十分。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開(〜2ヶ月)
腰水を続け、明るい日陰で管理する。
腰水卒業(2〜4ヶ月目)
水位を段階的に下げ、底面給水へ。
初回植え替え(1〜2年目)
根鉢が回ったら細粒用土へ移す。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: 用土の雑菌、過湿、通気不足
- 予防: 用土の殺菌、腰水の水換えをこまめに、サーキュレータで通気を確保
葉焼け・窓の濁り
- 原因: 強光、真夏の高温との重なり、急な環境変化
- 予防: 春秋は50%程度の遮光、真夏は明るい日陰へ、環境変化は1週間かけて慣らす
種が発芽しない
- 原因: 種の鮮度切れ、温度不足
- 予防: 採取年度を確認できる入手先を選ぶ、加温マットで22〜28℃を安定させる
親株と同じ姿にならない
- 原因: 流通の「オブツーサ」系は選抜クローンで、原種実生では同じ形質が再現されにくい
- 予防: 変種・個体差を楽しむ前提で進める。特定の選抜系を求めるなら子株・葉挿し苗が確実
注意点
属レベルで毒性の報告はない。
