南アフリカ・西ケープ州 Little Karoo の限られた石英礫地に固有のハオルチア。葉を左右二列に並べた扇形のロゼットを作り、葉先は水平に切り落としたような独特の切断面(truncate)を持つ。自生地ではほぼ全体が地中に埋もれ、葉先の半透明な「窓」だけを地表に出して光を取り込む特殊な姿で知られる。和名「玉扇(ぎょくせん)」で明治大正期から愛好家に集められてきた銘品で、窓の白点・線・模様による選抜系統が多数生まれた一方、本サイトは原種実生として記述する。Schönland (1910) の記載。IUCN は Endangered (EN)。
育て方
置き場所・日当たり

Little Karoo の石英礫地で葉を半ば埋め、葉先の窓だけで弱い光を取り込んで育つため、強光は不要。生育期は明るい日陰〜遮光 30〜50% 程度の柔らかな光で締まったロゼットを保てる。直射日光は葉先の窓を焼き、白濁や赤褐色の変色を招きやすい。室内の南〜東向き窓辺や、屋外なら遮光ネット下の棚が向く。夏の高温期は休眠気味になるため遮光を強め、風通しを確保する。冬は霜の当たらない明るい室内窓辺で、3℃以上を保つ。
水やり
春秋の生育期は用土が完全に乾いてから数日おいてたっぷり与える。葉先の窓に水を溜めない。夏は半休眠で控えめに絞り、冬は月 1〜2 回程度にとどめる。
用土
水はけ最優先、無機質中心で組む。赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石 = 4:3:3 が基本。石英礫地由来のため軽石・桐生砂を多めに配合するとよい。腰高鉢で乾湿のメリハリを付ける。
肥料・活力剤
生育期に緩効性化成肥料を少量、月 1 回程度の液肥(規定の倍以上に薄める)で十分。与えすぎは葉が間延びし窓の透明感も損なわれる。控えめに締めて作る。
温度・冬越し
生育適温 15〜28℃、春秋型のため真夏は半休眠となり 30℃を超えると生育が止まる。冬は最低 3℃を目安に明るい室内窓辺で乾燥越冬。盛夏の蒸れと冬の湿土+低温が最大の事故要因。
実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
播種前の処理
殺菌剤(ベンレート・ダコニール等)と活力剤(メネデール等)を希釈した液に、種子を半日浸ける。微粒で鮮度低下が早く、入手後すぐ播種する。
用土
実生用に細粒・無菌寄りの用土を別に用意。赤玉土細粒:鹿沼土細粒:バーミキュライト = 1:1:1 で、電子レンジか熱湯で事前殺菌しておく。
播種方法
微粒種子なので覆土なし、または種子が見え隠れする程度のごく薄い覆土に留める。種子間隔は 5mm 以上空け、ピンセットで重ならないよう並べる。
光・温度
明るい日陰で 22〜28℃を安定維持する。発芽日数は 7〜21 日。発芽は中の部類で、鮮度に大きく左右される。直射は避け、柔らかな光で管理する。
水やり
鉢底から 1〜2cm の腰水管理。最初の 2〜3 週間は乾かさないことを優先し、発芽が揃ってきたら水位を段階的に下げる。
肥料
発芽直後は不要。本葉が 2〜3 枚展開してから薄めた液肥を月 1〜2 回、規定の倍以上に薄めてごく控えめに与えれば十分。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開(〜1ヶ月)
腰水を保ち、明るい日陰で管理。
腰水卒業(1〜2ヶ月目)
水位を下げ底面給水へ移行。
初回植え替え(1〜2年目)
無機質中心の用土へ植え替え。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: 用土の雑菌、過湿、通気不足
- 予防: 用土の殺菌、腰水の水換えをこまめに、サーキュレータで通気を確保
葉焼け・窓の白濁
- 原因: 急な強光、真夏の無遮光
- 予防: 30〜50% の遮光下で管理、屋外は終日日陰の棚に置く
種が発芽しない
- 原因: 種の鮮度切れ、温度不足
- 予防: 信頼できる入手先を選ぶ、加温マットで温度を安定させる
夏の蒸れ・腐り
- 原因: 高温期の過湿、密閉された棚
- 予防: 真夏は水を絞り、風通しを最優先で確保する
注意点
選抜系統の親形質は実生で再現困難。

