南アフリカ東ケープ州の乾いた灌木地帯に自生する塊根性パキポディウム。非開花時は同じ地域に分布が重なる P. succulentum と酷似する近縁種で、見分けは花を待つことが多い。地中に隠れがちな塊根状の幹、二本一組で並ぶトゲ(学名 bispinosum=二本のトゲ)、枝先に咲くピンクの花が特徴で、年月をかけて太く育つ姿に独特の味わいがある。冬は落葉休眠するが属内では比較的丈夫で、ゆっくり育つ塊根を楽しみたい実生入門者にも親しまれてきた基本種。
自生地の気候
降水は一年を通じて比較的分散する。気温の年較差が大きく温暖な気候。
※ 自生地の正確な分布データが少ないため、自生地のおおよその中心付近の気候で代用した値です。
出典:気候・標高 WorldClim 2.1(1970–2000)/分布点 GBIF/在来範囲 POWO/現在の天気 Open-Meteo
育て方
置き場所・日当たり
南アフリカ東ケープ州の乾いた灌木地帯の出身で、強い日差しを好む。生育期は風通しの良い屋外で直射日光に当てると、塊根が引き締まり締まった姿になる。ただし日本の真夏は遮光30〜50%程度で葉焼けと蒸れを避けたい。鉢内のムレが最大の敵なので、地面に直置きせず棚やラックで風を通す。落葉後の休眠期は雨の当たらない明るい場所へ取り込み、室内なら窓辺の日当たり良好な位置で管理する。
水やり
生育期は表土が乾いてからたっぷり与え塊根を膨らませる。受け皿に水を残さない。秋に葉を落とし始めたら水を絞り、休眠期は完全断水で乾かし越冬する。
用土
水はけと通気性を最優先に無機質中心で組む。赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石 = 4:3:3が基本。深鉢で乾湿のメリハリを付けると塊根が傷みにくい。
肥料・活力剤
生育期に薄めた液肥を月1回、または緩効性化成肥料を植え替え時にひとつまみ。与えすぎは徒長と根腐れの原因。ゆっくり太らせる意識で控えめに。
温度・冬越し
生育適温20〜32℃、最低5℃が目安。属内では比較的寒さに強いが湿土+低温は致命傷。落葉後は雨を避けた明るい室内窓辺で乾燥越冬。真夏は棚上げと送風で蒸れを防ぐ。
実生のはじめ方
種の入手先
は直接商品ページ、その他は学名検索リンク。在庫は流動的なのでリンク先で改めて確認してください。
播種前の処理
殺菌剤(ベンレート水和剤・ダコニール1000など)と活力剤(メネデール等)を使用希釈率で混ぜた液に、種子を半日程度浸ける。沈まない種は鮮度が下がっている目印になる。
用土
実生用は成株と分け、細粒・無菌寄りに組む。赤玉土細粒:鹿沼土細粒:バーミキュライト = 1:1:1。電子レンジか熱湯で事前殺菌しておくと安心。
播種方法
覆土なしか、種子が見え隠れする程度のごく薄い覆土に留める。種子間隔は1cm以上空け、密集を避けて重ならないよう並べる。
光・温度
発芽までは明るい日陰またはLED環境で、22〜28℃を保つ。発芽日数は7〜21日。発芽率は鮮度次第で大きく変動するが、新鮮な種なら発芽はおおむね安定する。
水やり
鉢底から1〜2cmの腰水管理。最初の2〜3週間は乾かさないことを優先し、発芽が揃ってきたら徐々に水位を下げる。
肥料
発芽直後は不要。本葉が展開してから薄めた液肥を月1〜2回、規定の倍以上に薄めてごく控えめに与えるのが安全策となる。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開(〜1ヶ月)
腰水を継続し、湿度を保つ。強光は避け、引き続き明るい日陰で管理する。
腰水卒業(1〜2ヶ月目)
徐々に腰水の水位を下げ、最終的に底面給水(受け皿に水をやる)へ切り替える。急に乾燥させると枯れる。
初回植え替え(1〜2年目)
根が鉢底まで回ってきたら適期。塊根が見え始める頃に、無機質中心の通常用土へ植え替える。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: 用土の雑菌、過湿、通気不足
- 予防: 用土の殺菌、腰水の水換えをこまめに、サーキュレータで通気を確保
徒長
- 原因: 光量不足
- 予防: 発芽後すぐにLEDの距離を近づける、または屋外の明るい日陰へ移す
種が発芽しない
- 原因: 種の鮮度切れ、温度不足
- 予防: 信頼できる入手先を選ぶ、加温マットで温度を安定させる
発芽後すぐ枯れる
- 原因: 急な強光、急な乾燥
- 予防: 環境変化は段階的に。1週間かけて少しずつ慣らす
注意点
蒸れと過湿に注意。樹液に弱い毒性がある。












