マダガスカル南西部〜南部の spiny forest に自生する、ゴマ科ウンカリーナ属の代表種。樹高 2〜4m、灰白色のずんぐりとした塊根樹形に、ベルベット質の心臓形の葉が広がり、夏に鮮やかな黄色の大輪花(中心は紫黒色、ハイビスカス様)を咲かせる。最大の特徴は鋭い鉤を 4 本備えた硬い果実で、動物の毛皮や人の衣類に強くひっかかる「ベルクロ的」な拡散戦略を持ち、英名 mousetrap tree の由来にもなった。種小名は 19 世紀のマダガスカル探検家 Alfred Grandidier への献名。実生は比較的丈夫で、マダガスカル夏型コーデックスの入門にも向く。
育て方
置き場所・日当たり

トゥリアラ周辺・Andohahela 等の年降水量 400〜600mm の有刺林で、強い日射を浴びて育つ夏型樹木。生育期は屋外で終日直射に当てると、幹が締まって葉も大きく展開し、夏の終わりに花芽が動く。日本の真夏は遮光 20〜30% で軽い葉焼けと蒸れを防ぎつつ、棚上で風通しを確保したい。冬は雨を避けて 8℃ 以上を保てる明るい室内窓辺へ取り込み、乾燥越冬させる。
水やり
生育期は表土が乾いてからたっぷり、その後しっかり乾かすメリハリで管理する。本種は属内では水を欲しがる方だが、過湿で根が傷むのは他のコーデックスと同じ。秋に気温が下がってきたら徐々に水を控え、落葉が始まったら断水気味、冬は月 1 回程度の軽い霧吹きに留める。
用土
水はけ最優先で無機質中心に組む。赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石 = 4:3:3 が基本。緩効性肥料を少量混ぜると塊根の太りが早い。深鉢で根を真下に伸ばす構造が合う。
肥料・活力剤
生育期に薄めた液肥を月 1 回、または緩効性肥料を植え替え時に少量混ぜる。本種は栄養に応じて素直に成長するが、与えすぎは枝の徒長と幹の間延びを招く。控えめに、年単位で塊根を太らせる方針が合う。
温度・冬越し
生育適温 22〜35℃、最低 8℃ が目安。マダガスカル産で寒さに弱く、5℃ を切ると枝先が傷み、湿土+低温は致命的。秋に落葉してきたら早めに水を切り、明るい室内窓辺で乾燥越冬。日本の冬は乾湿のメリハリを保ったまま静かに越させる。

実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
播種前の処理
殺菌剤(ベンレート水和剤・ダコニール1000など)と活力剤(メネデール等)を使用希釈率で混ぜた液に、種子を半日程度浸ける。沈まない種は鮮度低下が進んでいる兆し。ゴマ科特有の硬い種皮を持つため、スカリフィケーション(やすりで種皮に軽く傷を入れる)を行うと吸水が改善する。
用土
実生用は細粒・無菌寄りに組む。赤玉土細粒:鹿沼土細粒:バーミキュライト = 1:1:1 で、熱湯やレンジで事前殺菌しておくと立ち枯れが減る。
播種方法
覆土なし、または種子が見え隠れする程度のごく薄い覆土に留め、種子間隔は 1cm 以上空ける。
光・温度
明るい日陰で 25〜30℃ を安定キープ。発芽は 10〜30 日と幅があり、加温マットで温度を保てば発芽のばらつきが小さい。
水やり
鉢底 1〜2cm の腰水管理。最初の 2〜3 週間は乾燥させず、発芽が揃ったら段階的に水位を下げる。
肥料
発芽直後は不要。本葉展開後に規定の倍に薄めた液肥を月 1〜2 回与えると、初期成長が安定する。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開
腰水継続、強光は避ける。
腰水卒業
1〜2ヶ月かけて段階的に。
初回植え替え
1〜2 年目、根が回ってから。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: 過湿、雑菌、通気不足
- 予防: 用土殺菌、腰水の水換え、サーキュレーターで通気確保
徒長
- 原因: 光量不足
- 予防: 発芽後すぐに LED 距離を近づける、または屋外の明るい日陰へ移す
種が発芽しない
- 原因: 種の鮮度切れ、温度不足、種皮が硬く吸水できていない
- 予防: 新鮮な種を選び、播種前にやすりで軽く傷を入れて加温マットで 25〜30℃ を維持
注意点
成熟した果実は 4 本の鋭い鉤を備え、衣類や指に強くひっかかる。剪定や種採取の際は革手袋を着用し、ペットや子どもの動線から外して保管する。




