中国・広西チワン族自治区の徳保県を中心とする極めて狭い石灰岩山地にのみ自生するソテツで、命名権威は Y.C.Zhong & C.J.Chen、1997 年に新種として記載された。被子植物ではなくソテツ目(Cycadales)ソテツ科の裸子植物で、種小名は基準産地である徳保(Debao)に由来する。最大の特徴は属内で唯一の 3 回羽状複葉(tripinnate) で、深緑の光沢葉が 2〜3m に伸び、小葉がさらに分岐して羽状に展開する独特の姿から「世界で最も奇妙なソテツ」とも称される。CITES 附属書 II・IUCN は Critically Endangered で、野生個体は乱獲により激減した保全最優先種。コレクター垂涎の希少種。
育て方
置き場所・日当たり

広西の標高 700〜1000m 前後、石灰岩の急斜面や岩棚に自生し、明るい林縁で半日陰〜直射を浴びて育つ。生育期は屋外の明るい場所が基本だが、3 回羽状の柔らかい葉は強光と乾風で葉焼けしやすく、日本の真夏は遮光 30〜50% と通風確保が無難。日陰すぎると葉軸が間延びし、最大の見せ場である分岐構造が緩むので、強光と弱光の中間を狙う。鉢内のムレに弱いため棚上で風を通し、冬は雨を避けた明るい室内窓辺へ取り込む。
水やり
生育期は表土がしっかり乾いてからたっぷり、受け皿に水を残さない。霧吹きで葉水を与えると湿度好みの本種に合う。冬は乾燥気味に月 1〜2 回程度。
用土
水はけ最優先、無機質中心。赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石 = 3:3:4 が目安。石灰岩生なので苦土石灰や卵殻を少量混ぜると安定する。深鉢で根を伸ばす。
肥料・活力剤
生育期に薄めた液肥を月 1 回、または緩効性化成肥料を植え替え時に少量。成長は遅く、与えすぎても太らず葉だけ徒長して分岐構造が崩れる。
温度・冬越し
生育適温 22〜32℃、最低 5℃が目安。亜熱帯石灰岩地の出身で revoluta より耐寒性はやや弱いが、乾いていれば短時間の 0℃前後にも耐える報告がある。湿土+低温は致命傷なので断水寄りで明るい室内窓辺で越冬。

実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
播種前の処理
赤い肉質の種衣(サルコテスタ)は腐敗の原因になるため、軽く水に浸して柔らかくした後に取り除く。殺菌剤(ベンレート水和剤・ダコニール1000など)と活力剤(メネデール等)を使用希釈率で混ぜた液に、種子を半日程度浸ける。沈まない種は鮮度落ちか受粉不良の目印。発芽には 25〜32℃ の安定した高温が必要。
用土
実生用は無機質単体寄り。軽石細粒主体、または赤玉土細粒:軽石 = 1:2。種子が大型で根も太く伸びるので、必ず深鉢を使う。熱湯やレンジで事前殺菌しておく。
播種方法
種子は横向きに寝かせて置くのが鉄則で、裂け目を上下にすると発根が乱れる。覆土は薄く、種子の上半分が見える程度。
光・温度
明るい日陰で 25〜30℃を安定維持し、加温マットはほぼ必須。発芽は 1〜3 ヶ月と不揃いで、3 ヶ月音沙汰なくても気長に待つ。
水やり
鉢底 1〜2cm の腰水管理。腐敗リスクが高いので水換えはこまめに。発芽が始まったら水位を徐々に下げる。
肥料
発芽直後は不要。本葉(羽状葉)が展開してから規定の倍以上に薄めた液肥を月 1 回ごく控えめに。成長が遅いので濃く与えない。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開
子葉→単羽状の本葉。
腰水卒業
3〜6 ヶ月かけて徐々に。
初回植え替え
2〜3 年目、深鉢へ。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: サルコテスタの残留、過湿、雑菌
- 予防: 肉質外皮を完全除去、用土殺菌、腰水の水換えとサーキュレーターで通気確保
徒長
- 原因: 光量不足
- 予防: 発芽後は明るい日陰〜半日陰に慣らし、3 回羽状の分岐構造を引き出す。LED は高出力で距離を近づける
種が発芽しない
- 原因: 鮮度切れ、温度不足、見切りの早さ
- 予防: 信頼できる入手先で新鮮種を確保、加温マットで 25〜30℃を安定維持、最低 3 ヶ月は捨てずに待つ
注意点
CITES 附属書 II・IUCN Critically Endangered の保全最重要種で、生株流通は規制対象。必ず合法・信頼できる入手元から導入する。種子に強い毒性があるため、子供やペットからは遠ざけたい。

