「フランキンセンス(乳香)」の名で知られ、古代エジプトの神殿祭祀から東方三博士の捧げものまで、世界の歴史と宗教の場に登場し続けてきた由緒ある樹木。アラビア半島南部、オマーンやイエメンの灼熱の岩盤の割れ目に張り付くようにして根を伸ばし、ねじれた幹と紙のように剥がれる薄い樹皮をまとう独特の姿を作る。樹皮から滲む乳白色の樹脂こそが、人類最古の交易品とされる本物の乳香である。
育て方
置き場所・日当たり

オマーンやイエメンの灼熱の石灰岩地で強烈な日射と乾燥に磨かれて育つため、強光と熱を強く要求する。生育期は終日直射の屋外+十分な通気で、ねじれた幹本来の質感が引き出される。涼しくなる前に必ず明るい室内窓辺へ取り込む。
水やり
生育期は表土が完全に乾いてから鉢底まで通すようにたっぷりと与え、強い通気で素早く乾かしてメリハリをつける。秋以降は徐々に減らし、落葉して休眠に入ったら春の動き出しまで完全断水で管理する。
用土
水はけ最優先。赤玉土:鹿沼土:軽石 = 3:3:4 と軽石比率を高めに配合し、表面は化粧用の細粒軽石で覆って常に乾きやすい状態を保つ。深鉢より浅めの素焼き鉢が根周りの蒸れを避けやすい。
肥料・活力剤
生育期の盛期に、規定の半分程度に薄めた液肥を月1回前後だけ控えめに与える。多肥は枝の徒長と幹の間延びを招くため、メネデール等の活力剤を併用しつつ、最少量で本来のねじれた樹形を活かす。
温度・冬越し
生育適温22〜32℃で熱には強いが寒さには明確に弱い。冷涼期に落葉して休眠するのは正常で、最低10℃を維持し雨と冷気を避けた明るい室内で断水気味に越冬させる。湿土+低温が最大の事故要因。

実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
は直接商品ページ、他は学名検索リンク。在庫は流動的なので、検索リンク先で改めて確認してください。
播種前の処理
殺菌剤(ベンレート水和剤・ダコニール1000など)と活力剤(メネデール等)を使用希釈率で混ぜた液に、種子を7時間程度浸ける。種子は紙のように薄いので取り扱いに注意する。鮮度が発芽率を大きく左右し、古い種子は中身が空のこともあるため、新鮮な種を入手後すぐに播くのが基本。
用土
細粒の赤玉と日向土を半々程度に配合した無機質用土を使い、播種前に熱湯か殺菌剤で必ず処理する。表面は細かい粒で均す。
播種方法
覆土はせず、翼がうっすら隠れる程度にとどめて、種子が浮き上がらないよう軽く押さえる程度に置く。
光・温度
発芽までは25〜32℃を保ち、直射を避けた明るい日陰で、やや高温寄りで管理する。加温マットの併用が発芽率を押し上げる。
水やり
発芽までは腰水で底面から常時湿らせ、サーキュレータで強めの送風を絶やさず、表面に水滴を残さないよう乾湿のリズムをつける。
肥料
本葉が2〜3枚展開した頃から、規定の半分以下に薄めた液肥を2〜3週間に1度ごく控えめに与える。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開
腰水継続、強光を避ける。
腰水卒業
1〜2ヶ月かけて段階的に。
初回植え替え
2年目以降、根が回ってから。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: 過湿、低温
- 予防: 用土殺菌、温度管理、通気
発芽率が極端に低い
- 原因: 種の鮮度、温度不足
- 予防: 新鮮な種、加温マット必須
冬越し失敗
- 原因: 寒さに弱い
- 予防: 最低10℃以上を維持
注意点
湿土と低温の組合せが最大の事故要因。冬は10℃以上を維持して断水。



