南アフリカ・ノーザンケープ州の石灰岩やドレライトの露頭に自生する、メセン(ハマミズナ科)の代表種。直径 2〜4cm の対葉が地面にほぼ埋まった状態で育ち、上面の橙茶色の網状模様と半透明の「窓」が周囲の砂礫と見分けがつかないほどよく似ていることから「生き石(いきいし)」の和名が広く定着している。POWO 正式名は Lithops aucampiae L.Bolus, 1932。CITES 対象外で IUCN は Least Concern。冬型の生育サイクル、独特の脱皮管理、夏の断水という三つの要点を押さえると、安定した栽培につながる。
育て方
置き場所・日当たり

生育期(秋〜春)は屋外の直射日光か、南向き窓際の強光を確保する。光が弱いと徒長し、模様や体色が締まらなくなる。日本の夏(7〜8月)は休眠期にあたり、直射日光でも構わないが、雨を避けた軒下か雨よけ付き棚に置いて用土を乾燥気味に保つ。通気が悪いと蒸れで腐敗しやすいため、サーキュレーターや扇風機で空気を動かすと安定しやすい。冬の室内管理では少なくとも半日以上の日照を確保し、徒長と窓の白濁を防ぐ。
水やり
秋(9〜10月)に脱皮が完了し新しい対葉が展開してから水やりを再開する。生育期は用土が完全に乾いてからたっぷり与え、その後しっかり乾かすサイクルを繰り返す。脱皮中(旧葉が割れて新葉が出てくる時期)は水を控え、旧葉が自力で萎縮するのを待つ。春以降は水やり頻度を落とし、夏(6〜8月)は休眠のため完全に断水か月 1 回程度の霧吹き程度に抑える。
用土
水はけ最優先。無機質中心で、赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石 = 4:3:3 を基本とし、有機分は 1〜2 割以下に抑える。プラ鉢より素焼き鉢のほうが過湿を防ぎやすく、扁平な浅鉢より少し深めの鉢で乾湿のメリハリを付けやすい。
肥料・活力剤
施肥の必要性は低い。与える場合は生育期(秋〜春)に薄めた液肥を月 1 回程度にとどめる。多肥は徒長と根腐れに直結し、模様や形も崩れる。
温度・冬越し
生育適温は 10〜25℃。最低 5℃を目安に、それを下回る場合は明るい室内窓辺へ取り込む。真冬でも断水を続けながら日光に当てることで充実した株ができる。夏の高温期(35℃以上)は風通しのよい半日陰で休眠させ、湿土と高温の組み合わせを避ける。

実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
播種前の処理
殺菌剤(ベンレート水和剤・ダコニール1000など)と活力剤(メネデール等)を使用希釈率で混ぜた液に種子を 2〜3 時間浸ける。リトープスの種は極めて細かいため、浸け過ぎると沈下してつまみにくくなる点に注意する。蒔き床の用土は事前に電子レンジか熱湯で殺菌しておくとカビの発生を抑えられる。
用土
細粒・無菌の実生用土を別に用意する。赤玉土細粒:鹿沼土細粒:バーミキュライト = 1:1:1 を基本とし、砂漠砂を 1〜2 割混ぜると通気が上がる。
播種方法
種子は直径 0.5〜1mm と非常に細かいため、爪楊枝や湿らせた筆先で一粒ずつ用土表面に置く。覆土なし、または種が見え隠れする程度のごく薄い覆土にとどめ、種子間は 1cm 以上確保して重ならないよう並べる。蒔き床全体に霧吹きをしてから、ラップやガラスで半密閉し湿度を保つ。
光・温度
発芽まで明るい日陰(直射日光を避ける)で 18〜22℃を安定維持する。発芽日数は 3〜14 日。新鮮な種であれば発芽しやすい。
水やり
鉢底から 1〜2cm の腰水管理で乾燥を防ぐ。発芽が揃ってきたら水位を段階的に下げ、2 ヶ月目以降は底面給水に切り替える。
肥料
発芽直後は不要。本葉が 2〜3 対展開してから薄めた液肥を月 1 回程度に留める。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開(〜1 ヶ月)
腰水を継続し、湿度を保ちながら徐々に日光に慣らす。最初の 2 週間は密閉を保ち、その後少しずつ換気する。
腰水卒業(1〜3 ヶ月目)
鉢底まで根が届いたら腰水を切り、表面が乾いてから与えるサイクルに移行する。急な乾燥は枯れにつながるため、2 週間かけて段階的に切り替える。
初回植え替え(1〜2 年目)
根が鉢底まで回り、株間が混み合ってきたら植え替える。リトープスは根が傷むと回復が遅いため、根鉢をできるだけ崩さず移植する。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: 用土の雑菌、発芽後の過湿、通気不足
- 予防: 播種前の用土殺菌、腰水をこまめに換える、サーキュレーターで通気確保
徒長
- 原因: 光量不足、過肥
- 予防: 発芽後から LEDを近づけるか明るい日陰へ移す。施肥量は最小限に
種が発芽しない
- 原因: 種の鮮度低下、温度不足(18℃未満)、秋蒔き時期のずれ
- 予防: 信頼できる入手先を選ぶ。秋(9〜11月)に蒔き、加温マットで 18〜22℃を安定させる
夏の高温で停止・腐敗
- 原因: 断水不徹底 + 高温多湿
- 予防: 6〜8月は断水または月 1 回程度の霧吹きにとどめ、風通しのよい半日陰で休眠させる
注意点
脱皮中の水やりは新葉の養分吸収を妨げる。

