南アフリカ北ケープ州ナマクアランドの花崗岩ドームの裂け目に自生する小型のオトンナで、和名「黒鬼城(くろおにじょう)」。命名権威は Hutch.(Hutchinson, 1917)。種小名 euphorbioides は「ユーフォルビアに似た」の意で、薄紙状の灰黄〜赤褐色樹皮の短い塊茎から、棘状に固まった宿存葉柄と枯花柄を放射状に伸ばす姿は、棘のあるアフリカ産ユーフォルビアと見紛う。秋に短く葉を出してすぐ落とし、初夏に黄色いデイジー状の花を咲かせ、夏は裸枝で休眠する 冬型。2022 年 CITES CoP19 で附属書 III に追加され、流通株は実生由来を選びたい。
育て方
置き場所・日当たり

原産地は年降水量 100〜200mm、冬雨と海霧で潤うナマクアランドの花崗岩ドームで、岩の浅い割れ目にわずかな砂礫を頼りに張り付いて育つ。日射は強いが大気は冷涼。生育期の秋〜春は屋外または明るい窓辺でしっかり光を当て、棘状の枝が間延びせず黒灰色に締まった姿を保つ。日本で最も危険なのは 梅雨明け以降の夏。直射を避けた明るい日陰(寒冷紗 50〜70%)に移し、棚上に置いてサーキュレーターで風を切る。冬は屋内 5℃ 以上の窓辺で容易に越冬。
水やり
9〜10 月から少量で再開、葉が出たら乾いてからたっぷり。4〜5 月に葉が黄変・落葉したら断水、夏は完全に乾かす。心配して夏に与えるのが腐敗の最大原因。
用土
水はけ最優先で無機質中心に。赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石 = 3:3:4 と軽石比率を上げる。原産地は浅い岩の割れ目なので、深鉢より浅めの鉢で表層からしっかり乾く構造が合う。
肥料・活力剤
生育期に倍以上に薄めた液肥を月 1 回、または緩効性肥料を植え替え時に少量。極度の貧栄養土壌の出身で、与えすぎは節立った姿が崩れ樹皮の色が鈍る。夏は与えない。
温度・冬越し
生育適温 15〜25℃、最低 5℃。乾いていれば 0℃ 近くまで耐えるが湿土+低温は致命傷。夏越しが冬越しより難しい 種で、35℃ 超+湿気で株元から崩れる。夏は遮光・通風・断水を徹底。
実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
は直接商品ページ、他は学名検索リンク。在庫は流動的なので、検索リンク先で改めて確認してください。
播種前の処理
殺菌剤(ベンレート水和剤・ダコニール1000など)と活力剤(メネデール等)を使用希釈率で混ぜた液に、種子を半日程度浸ける。浮き続ける種は採取からの時間が長い見込み。種子は微小な痩果で冠毛が付き、鮮度低下で発芽率が一気に落ちる。
用土
実生用は細粒・無菌寄りに。赤玉土細粒:鹿沼土細粒:バーミキュライト = 1:1:1 を熱湯やレンジで殺菌。表層に粗砂を薄く敷くと冠毛付き種子が固定しやすい。
播種方法
覆土しない。冠毛が付き風で飛びやすいので無風の屋内で湿らせた用土表面に置く。密集したら発芽後に間引く。粗砂を薄く被せると種子が固定する。
光・温度
明るい日陰で 15〜22℃ をキープ。冬型なので 25℃ を超える加温はかえって発芽率を落とす。日本では 9〜11 月 が適期。発芽は 10 日〜1 ヶ月。
水やり
鉢底 1〜2cm の腰水管理。最初の 2〜3 週間は乾かさず、発芽が揃ったら段階的に水位を下げる。冷たすぎる水は避け室温程度を使う。
肥料
発芽直後は不要。本葉展開後に倍以上に薄めた液肥を月 1〜2 回。成長は極めて緩やかで、初年度は数 mm〜1cm。焦らず数年かけて塊茎を太らせる。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開
腰水継続、明るい日陰で管理。
腰水卒業
1〜2 ヶ月かけて段階的に。
初回植え替え
2〜3 年目、秋に浅鉢へ。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: 過湿、雑菌、通気不足
- 予防: 用土殺菌、腰水の水換え、サーキュレーターで通気確保
徒長
- 原因: 光量不足。冬型は秋〜春の太陽が低く光量を稼ぎにくい
- 予防: 室内なら LED を近距離、晴天時は屋外の明るい日陰へ
種が発芽しない
- 原因: 鮮度切れ、温度が高すぎる
- 予防: 入手後は早めに播く。25℃ を超える加温は避け、室温 15〜22℃ で
夏の高温で停止・腐敗
- 原因: 休眠中の高温多湿、夏の水やり。本種最大の事故要因
- 予防: 4〜5 月から水を切り梅雨入り前に断水、夏は遮光・通風・涼所、エアコン室退避も有効
注意点
CITES 附属書 III 掲載種、輸入時は要書類確認。



