中国・四川省南部〜雲南省北部、金沙江流域の標高 1100〜2000m の乾熱河谷に固有のソテツ。命名権威は L.Zhou & S.Y.Yang(1981 年)で、種小名は基準産地である四川省「攀枝花」市に由来する。中国名は攀枝花蘇鉄、和名はサイカス・パンジーファエンシス。樹高 1〜3m、灰色の単幹に青緑〜銀緑の羽状複葉を放射状に展開し、Cycas 属の中で最も標高の高い分布域を持つ。属内随一の耐寒性を持ち、フロンドは -8〜-10℃・幹は乾燥下で -15℃ にも耐えるとされ、屋外越冬可能なソテツとして注目される。CITES 附属書 II、IUCN は Vulnerable。
育て方
置き場所・日当たり

金沙江流域の乾熱河谷で、サバンナ状の開けた斜面で終日強光を浴びる陽性植物。生育期は屋外で直射に当てるほど葉軸が短く硬く仕上がり、青緑色も締まる。日陰だと葉が伸びて色がぼけ、フロンドが垂れやすい。日本の真夏でも遮光は 30% 以下に抑え、棚やラックで風を通す。属内では群を抜いて寒さに強く、関東以西なら鉢ごと屋外越冬も可能だが、長雨と凍結の組合せは避け霜よけ軒下が安全。
水やり
生育期は表土がしっかり乾いてからたっぷり、受け皿に水を残さない。秋から徐々に絞り、冬は乾燥気味に月1〜2回程度。湿土+低温は耐寒性を大きく削ぐ。
用土
水はけ最優先で無機質中心。赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石 = 3:3:4。自生地は石灰岩・砂頁岩の弱アルカリ土壌なので、苦土石灰をひとつまみ混ぜると相性が良い。
肥料・活力剤
生育期に薄めた液肥を月1回、または緩効性化成肥料を植え替え時に少量。Cycas 属ではやや成長が速い方だが、濃く与えると葉軸が間延びし耐寒性も落ちる。
温度・冬越し
生育適温22〜32℃、最低-5℃が目安。属内最強の耐寒性で、乾燥条件ならフロンドは -8〜-10℃、幹は -12〜-15℃ にも耐える報告がある(USDA zone 7 相当)。霜よけ軒下で乾かし越冬すれば屋外可。

実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
播種前の処理
赤い肉質の種衣(サルコテスタ)は腐敗の原因になるため、軽く水に浸して柔らかくした後に取り除く。殺菌剤(ベンレート水和剤・ダコニール1000など)と活力剤(メネデール等)を使用希釈率で混ぜた液に、種子を半日程度浸ける。沈まない種は鮮度や受粉不良の目印。発芽には 25〜32℃ の安定した高温が必要。
用土
実生用は無機質単体寄り。軽石細粒主体、または赤玉土細粒:軽石 = 1:2。直根が深く伸びるので必ず深鉢を使う。事前に熱湯やレンジで殺菌しておく。
播種方法
種子は横向きに寝かせて置くのが鉄則。裂け目を上下にすると発根が乱れる。覆土はごく薄く、種子の上半分が見える程度に留める。
光・温度
明るい日陰で25〜30℃を安定維持。加温マットを使うと発芽がしっかり出揃う。発芽は1〜3ヶ月で、Cycas 属の中では比較的速い部類。
水やり
鉢底1〜2cmの腰水管理。腐敗リスクが高いので水換えはこまめに。発芽が始まったら水位を徐々に下げる。
肥料
発芽直後は不要。本葉(羽状葉)が展開してから規定の倍以上に薄めた液肥を月1回ごく控えめに。濃く与えると徒長する。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開
子葉→羽状本葉の順に展開。
腰水卒業
2〜3ヶ月かけて段階的に。
初回植え替え
2〜3年目、深鉢に直根を伸ばす。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: サルコテスタの残留、過湿、雑菌
- 予防: 肉質外皮を完全除去、用土殺菌、腰水の水換えを徹底、サーキュレーターで通気確保
徒長
- 原因: 光量不足
- 予防: 発芽後は強い光に慣らし、フロンドの青緑色と短い葉軸を引き出す。屋外の明るい場所か高出力LED必須
種が発芽しない
- 原因: 鮮度切れ、温度不足、サルコテスタ未除去
- 予防: 信頼できる入手先で新鮮種を確保、加温マットで25〜30℃を安定維持、外皮を完全に剥く
注意点
CITES 附属書 II・IUCN Vulnerable で野生株の国際取引は許可制。種子に強い毒性があるため、子供やペットからは遠ざけたい。

