南アフリカ・西ケープ州 Little Karoo の石英礫地に自生するハオルチアで、和名は「玉万(たまばん)」。同じ産地を共有する姉妹種「玉扇(H. truncata)」が葉を左右二列に並べる扇型をとるのに対し、玉万は円柱形の葉を放射状に広げたロゼットを作る点が最大の違い。いずれの葉先も水平に切り取ったような平坦な切断面(truncate)を持ち、そこに半透明の「窓」が広がって地下から光を取り込む。Poellnitz(1937年)の記載で、POWO では独立種として維持される。IUCN は Endangered(EN)で、自生地の狭さと採集圧が懸念される。
育て方
置き場所・日当たり

Little Karoo の石英礫地で植物体のほぼ全体を地中に埋め、葉先の窓だけを地表に出して柔らかな散乱光を拾う。そのため強光は不要で、生育期は明るい日陰〜遮光 30〜50% 程度の均質な光が向く。直射は窓面を焼いて白濁・赤褐色の変色を招き、回復に長くかかる。室内なら南〜東向き窓辺、屋外なら遮光ネット下の棚が適切。夏の高温期は半休眠気味になるため遮光を深め、風通しを優先する。冬は霜の当たらない明るい室内窓辺で 3℃以上を保つ。玉扇(H. truncata)同様、光の当てすぎは窓の美しさを損なう最大の要因となる。
水やり
春秋の生育期は用土が完全に乾いてから数日おいてたっぷり与える。窓面に水を溜めないよう注意。夏は半休眠で控えめに絞り、冬は月 1〜2 回程度にとどめる。
用土
水はけ最優先、無機質中心で組む。赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石 = 4:3:3 が基本。石英礫地由来のため軽石・桐生砂を多めに配合してもよい。腰高鉢で乾湿のメリハリを付ける。
肥料・活力剤
生育期に緩効性化成肥料を少量、月 1 回程度の液肥(規定の倍以上に薄める)で十分。与えすぎは葉の間延びと窓の透明感の低下につながる。
温度・冬越し
生育適温 15〜28℃の春秋型。28℃を超えると生育が鈍り始め、30℃以上では半休眠に入る。冬は最低 3℃を目安に明るい室内窓辺で乾燥越冬。盛夏の蒸れと冬の湿土+低温が主な事故要因となる。
実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
播種前の処理
殺菌剤(ベンレート・ダコニール等)と活力剤(メネデール等)を希釈した液に、種子を半日浸ける。微粒で保管状態による鮮度差が出やすく、入手後はなるべく早く播種するのが安心。
用土
実生用に細粒・無菌寄りの用土を別に用意。赤玉土細粒:鹿沼土細粒:バーミキュライト = 1:1:1 で、電子レンジか熱湯で事前殺菌しておく。
播種方法
微粒種子なので覆土なし、または種子が見え隠れする程度のごく薄い覆土に留める。種子間隔は 5mm 以上空け、ピンセットで重ならないよう並べる。
光・温度
明るい日陰で 22〜28℃を安定維持する。発芽日数は 7〜21 日。発芽は中の部類で、種の鮮度に大きく左右される。直射は避け、柔らかな光で管理する。
水やり
鉢底から 1〜2cm の腰水管理。最初の 2〜3 週間は乾かさないことを優先し、発芽が揃ってきたら水位を段階的に下げる。
肥料
発芽直後は不要。本葉が 2〜3 枚展開してから薄めた液肥を月 1〜2 回、規定の倍以上に薄めてごく控えめに与えれば十分。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開(〜1ヶ月)
腰水を保ち、明るい日陰で管理。
腰水卒業(1〜2ヶ月目)
水位を下げ底面給水へ移行。
初回植え替え(1〜2年目)
無機質中心の用土へ植え替え。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: 用土の雑菌、過湿、通気不足
- 予防: 用土の殺菌、腰水の水換えをこまめに、サーキュレータで通気を確保
葉焼け・窓の濁り
- 原因: 急な強光、真夏の無遮光
- 予防: 30〜50% の遮光下で管理、屋外は終日日陰の棚に置く
種が発芽しない
- 原因: 種の鮮度切れ、温度不足
- 予防: 信頼できる入手先を選ぶ、加温マットで温度を安定させる
親株と同じ姿にならない
- 原因: 窓の模様・形状は選抜系統に由来するため、実生では形質が分離する
- 予防: 原種実生として楽しむ前提で望む。選抜系統の親形質は実生では再現困難。
注意点
属レベルで毒性の報告はない。
