南アフリカ西ケープから北ケープ、ナミビア南部の冬雨〜半冬雨地帯に広く分布するペラルゴニウム属の半多肉低木。命名権威は (L.) L'Hér.、1789 年。種小名 carnosum は「肉質の」の意で、節がやや膨れて瘤状に見える太い多肉質の幹こそが本種の貯水器官であり、属内でも特に「コーデックス的」な姿を見せる代表種。樹高は 75cm ほどまで、灰緑色の羽状葉を秋〜春に展開し、夏は落葉して休眠する 冬型。SANBI は Least Concern と評価し、CITES 附属書にも掲載されない。比較的丈夫でゆっくり太るので、ペラルゴニウム実生(みしょう)の入門種として親しまれてきた。
育て方
置き場所・日当たり

原産地の小カルー〜ナマクアランドは年降水量 100〜250mm の冬雨〜半冬雨帯で、砂礫質の平地や緩斜面に強い日射を浴びて育つ。生育期の秋〜春は屋外または南向きの窓辺でしっかり日に当てると、節間が締まり太い幹がよく育つ。日本で問題になるのは 梅雨明け以降の夏。直射を避けた明るい日陰(寒冷紗 50〜70%)に移し、棚上に置いてサーキュレーターで風を通す。耐霜性はないので冬は屋内 5℃ 以上を保てる窓辺で容易に越冬できる。
水やり
秋(9〜10月)に葉が動き出したら少量から再開、展葉したら乾いてからたっぷり。春に葉が黄変・落葉したら断水、夏は基本断水で乾かして越す。夏に水を与えるのが腐敗の最大原因。
用土
水はけ最優先で無機質中心に。赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石 = 4:3:3 が基本。原産地の砂質土壌を意識し、深鉢で表層から芯までしっかり乾く構造にする。
肥料・活力剤
生育期の秋〜春に倍以上に薄めた液肥を月 1 回、または緩効性肥料を植え替え時に少量。本来やせ地の植物で、与えすぎは節間が伸び幹の締まりが鈍る。夏は与えない。
温度・冬越し
生育適温 15〜25℃、最低 5℃ を目安。乾いていれば数℃まで耐えるが湿土+低温は致命傷。夏越しが冬越しより難しい のが冬型共通の特徴で、6〜9月は遮光・通風・断水を徹底する。

実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
播種前の処理
殺菌剤(ベンレート水和剤・ダコニール1000など)と活力剤(メネデール等)を使用希釈率で混ぜた液に、種子を半日程度浸ける。浮く種は鮮度が落ちている傾向。本属は硬実種子寄りで、栽培家報告では 2〜3 週間の 低温湿潤処理(冷蔵庫保管)が発芽率を底上げするとされる。
用土
実生用は細粒・無菌寄りに。赤玉土細粒:鹿沼土細粒:バーミキュライト = 1:1:1 を熱湯やレンジで殺菌。表層に粗砂を薄く敷くと螺旋状の芒(のぎ)付き種子が固定しやすい。
播種方法
ごく薄く覆土するか、表面に置いて粗砂で軽く押さえる。種子はらせん状の芒を持ち、湿気で芒がねじれて自ら土に潜り込む構造。密集は発芽後に間引く。
光・温度
明るい日陰で 15〜22℃ をキープ。冬型なので 25℃ を超える加温はかえって発芽率を落とす。日本では 9〜11 月 が適期で、SANBI も「秋(4〜5 月=南半球の秋)に播種」と記す。発芽は 10 日〜1 ヶ月。
水やり
鉢底 1〜2cm の腰水管理。最初の 2〜3 週間は乾かさず、発芽が揃ったら段階的に水位を下げる。冷たすぎる水は避け室温程度を使う。
肥料
発芽直後は不要。本葉展開後に倍以上に薄めた液肥を月 1〜2 回。冬型としては成長が早い方とされ、初年度に塊茎の輪郭が見えてくる株もある。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開
腰水継続、明るい日陰で。
腰水卒業
1〜2 ヶ月かけて段階的に。
初回植え替え
1〜2 年目、秋に深鉢へ。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: 過湿、雑菌、通気不足
- 予防: 用土殺菌、腰水の水換え、サーキュレーターで通気確保
徒長
- 原因: 光量不足。冬型は秋〜春の太陽が低く光量を稼ぎにくい
- 予防: 室内なら LED を近距離、晴天時は屋外の明るい日陰へ
種が発芽しない
- 原因: 鮮度切れ、温度が高すぎる、硬実種子の休眠
- 予防: 入手後早めに播く、室温 15〜22℃ で、低温湿潤処理を試す
夏の高温で停止・腐敗
- 原因: 休眠中の高温多湿、夏の水やり。本種最大の事故要因
- 予防: 春に葉が黄変したら断水、夏は遮光・通風・涼所、エアコン室退避も有効
注意点
家畜中毒例の報告はないが樹液は触れた手で目をこすらない。



