マダガスカル南西部、石灰質の乾燥林や有刺林に自生する、属内で最も小型のバオバブです。現地名「フォニー(fony)」で流通し、POWO では Adansonia fony var. rubrostipa に置かれますが、栽培では Adansonia rubrostipa が定着しています。樹高4〜5mほどで、徳利状に膨らんだ基部と赤みを帯びた樹皮が特徴です。2〜4月に黄色〜橙黄色の花を開きます。実生苗から基部が早く膨らみ、日本でも実生人気が高い種です。IUCN では軽度懸念(Least Concern)で、CITES 附属書には掲載されていません。
自生地の気候
雨は暖かい季節に集中し、5か月ほど続く乾季がある。やや暑い気候。
自生地の広域的な気候の目安です。岩陰や霧など、実際の生育環境はこれより穏やかな場合があります。
出典:気候・標高 WorldClim 2.1(1970–2000)/分布点 GBIF/在来範囲 POWO/現在の天気 Open-Meteo
育て方
置き場所・日当たり
マダガスカル南西部の石灰質の乾燥林で強い日射を浴びて育つため、強光と風通しを好みます。生育期は屋外で終日直射に当てると、徳利状の基部が締まって膨らみ、葉も間延びせず本種らしいフォルムが整います。日本の真夏は高温多湿で蒸れることがあるので、遮光30%程度を目安に、鉢は地面に直置きせず棚やラックに上げて風を通します。乾季にあたる落葉後の休眠期は、8℃以上を保てる明るい室内窓辺へ早めに取り込み、戸外に出しっぱなしにしないようにします。
水やり
生育期は表土が乾いてからたっぷり、乾湿のメリハリで徳利状の基部を膨らませます。受け皿に水を残さないようにします。落葉後の休眠期は完全断水〜月1回の霧吹き程度で乾かして越冬します。
用土
水はけ最優先で無機質中心。赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石 = 4:3:3が基本。直根を下ろすので、深鉢で乾湿のメリハリを付けると膨らんだ基部も腐りにくくなります。
肥料・活力剤
生育期に薄めた液肥を月1〜2回、または緩効性化成肥料を植え替え時にひとつまみ。与えすぎると間延びするので、控えめに太らせます。
温度・冬越し
生育適温24〜34℃、最低8℃が目安。自生地では成木は乾季の冷え込みに耐えますが、幼苗は寒さに弱い部類です。落葉後は早めに室内へ取り込み、明るい窓辺で乾燥越冬させます。
実生のはじめ方
種の入手先
は直接商品ページ、その他は学名検索リンク。在庫は流動的なのでリンク先で改めて確認してください。
播種前の処理
種皮が厚く硬いので、40〜50℃程度の温湯に半日〜一晩浸けて吸水させると発芽が揃いやすくなります。殺菌剤(ベンレート水和剤・ダコニール1000など)を規定希釈で併用すると安心です。水に浮いて沈まない種は鮮度切れの可能性が高くなります。
用土
実生用は細粒・無菌寄り。赤玉土細粒:鹿沼土細粒:バーミキュライト = 1:1:1。電子レンジか熱湯で事前殺菌しておくと立ち枯れを防ぎやすくなります。
播種方法
種子は大きいので、種子の厚みの半分程度の薄い覆土に留めます。種子間隔は1cm以上空け、密集を避けて並べます。
光・温度
明るい日陰で28〜32℃を安定維持します。発芽日数は7〜21日。発芽は鮮度次第で変動しますが、種皮処理をした新鮮な種なら発芽はおおむね安定する部類です。
水やり
鉢底から1〜2cmの腰水管理。最初の2〜3週間は乾かさないことを優先し、発芽が揃ってきたら水位を段階的に下げます。
肥料
発芽直後は不要。本葉が展開してから規定の倍以上に薄めた液肥を月1〜2回。控えめに与えても基部はよく膨らみます。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開
腰水を継続し、強光は避ける。
腰水卒業
1〜2ヶ月かけて段階的に。
初回植え替え
直根が回る1年目に深鉢へ。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: 過湿、雑菌、通気不足
- 予防: 用土殺菌、腰水の水換えをこまめに、通気を確保
徒長
- 原因: 光量不足、高温過湿
- 予防: 発芽後すぐLED距離を近づける、または屋外の明るい日陰へ移す
種が発芽しない
- 原因: 種の鮮度切れ、種皮の吸水不足、温度不足
- 予防: 新鮮な種を温湯に浸けてから播く、加温マットで28〜32℃を維持
注意点
幼苗から徳利状に膨らむ基部が見どころ。直根が深く深鉢向き。


