南アフリカ北ケープ州(リフタスフェルト〜ナマクアランド)から西ケープ・ナミビア南部の冬雨〜半砂漠地帯に自生する、節くれだった多肉質の太い枝を持つ低木。命名権威は Sm.(James Edward Smith, 1793)、種小名は葉が Crithmum(セリ科ハマミズナ)に似ることに由来する。剥がれる黄緑色の樹皮は枝自身が光合成し、葉は短い生育期にだけ枝先に集まって展開、揉むと生姜と肉荳蔲の香りがする。古い花茎が乾いて硬化し棘状に残るため独特の質感を持ち、carnosum と並ぶ「succulent Pelargonium」の代表格として実生・接ぎ木で親しまれている 冬型。
育て方
置き場所・日当たり

原産地ナマクアランド〜リフタスフェルトは年降水量 80mm 前後の岩礫地で、強い日射と冷涼な大気のもと、岩の隙間に張り付くように育つ。生育期の秋〜春は屋外または明るい窓辺でしっかり光に当てると、節間が詰まり樹皮の色も冴える。問題は日本の 梅雨〜真夏。直射を避けた明るい日陰(寒冷紗 50〜70%)に移し、棚上に置いてサーキュレーターで風を回す。冬は屋内 5℃ 以上の窓辺で容易に越冬し、乾けば短時間 0℃ 近くまで耐える。
水やり
9〜10 月から少量で再開、葉が出たら乾いてからたっぷり。4〜5 月に葉が黄変・落葉したら断水、夏は完全に乾かす。心配して夏に与えるのが腐敗の最大原因。
用土
水はけ最優先で無機質中心に。赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石 = 3:3:4 と軽石比率を上げる。原産地は岩の浅い割れ目なので、深鉢より浅鉢で表層から乾く構造が合う。
肥料・活力剤
生育期に倍以上に薄めた液肥を月 1 回、または緩効性肥料を植え替え時に少量。極度の貧栄養土壌の出身で、与えすぎは枝が間延びし樹皮の黄緑が鈍る。夏は与えない。
温度・冬越し
生育適温 15〜25℃、最低 5℃ が目安。SANBI は乾燥下で −4℃ まで耐えると記すが、湿土+低温は致命傷。夏越しが冬越しより難しい 種で、35℃ 超+多湿で枝先から崩れる。夏は遮光・通風・断水を徹底。

実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
播種前の処理
殺菌剤(ベンレート水和剤・ダコニール1000など)と活力剤(メネデール等)を使用希釈率で混ぜた液に、種子を半日程度浸ける。浮き続ける種は鮮度が低下しているサイン。種子は嘴状の長い芒を持ち、鮮度低下で発芽率が一気に落ちる。
用土
実生用は細粒・無菌寄りに。赤玉土細粒:鹿沼土細粒:バーミキュライト = 1:1:1 を熱湯やレンジで殺菌。表層に粗砂を薄く敷くと芒付き種子の固定に役立つ。
播種方法
芒を上に、鋭い先端を用土に刺すように立てて軽く埋める。浅い穴を開けて差し込む形でよく、密集したら発芽後に間引く。
光・温度
明るい日陰で 15〜22℃ をキープ。冬型なので 25℃ を超える加温はかえって発芽率を落とす。日本では 9〜11 月 が適期。発芽は 10 日〜1 ヶ月。
水やり
鉢底 1〜2cm の腰水管理。最初の 2〜3 週間は乾かさず、発芽が揃ったら段階的に水位を下げる。冷たすぎる水は避け室温程度を使う。
肥料
発芽直後は不要。本葉展開後に倍以上に薄めた液肥を月 1〜2 回。成長は極めて緩やかで、SANBI は「1m に達するまで 5 年」と記すので焦らない。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開
腰水継続、明るい日陰で。
腰水卒業
1〜2 ヶ月かけて段階的に。
初回植え替え
2〜3 年目、秋に浅鉢へ。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: 過湿、雑菌、通気不足
- 予防: 用土殺菌、腰水の水換え、サーキュレーターで通気確保
徒長
- 原因: 光量不足。冬型は秋〜春の太陽が低く光量を稼ぎにくい
- 予防: 室内なら LED を近距離、晴天時は屋外の明るい日陰へ
種が発芽しない
- 原因: 鮮度切れ、温度が高すぎる
- 予防: 入手後は早めに播く。25℃ を超える加温は避け、室温 15〜22℃ で
夏の高温で停止・腐敗
- 原因: 休眠中の高温多湿、夏の水やり。本種最大の事故要因
- 予防: 4〜5 月から水を切り梅雨入り前に断水、夏は遮光・通風・涼所、エアコン室退避も有効
注意点
樹液はベタつき接触皮膚炎の報告あり、扱い時は手を洗う。

