南アフリカ・レソト王国にのみ自生する、世界的に知られた高山性アロエ。直径 50〜80cm のロゼットに灰緑色の葉が五角形の渦巻き状に整然と並ぶ姿は、植物界でも例を見ない高い幾何学的対称性をもつ。時計回り・反時計回りの両方向のスパイラルを形成し、右巻きと左巻きの出現比率はほぼ 1:1 とされる。ドラケンスバーグ山脈の標高 2,000〜2,800m に広がる玄武岩岩棚に根を張り、自生地では冬季に −10〜−20℃ の低温と降雪を経験する。POWO の accepted name は Aloe polyphylla Schönland ex Pillans (1934)。IUCN は Endangered(絶滅危惧)に指定、CITES 附属書 I に掲載される属内例外種。国内外で「スパイラルアロエ」として流通し、カタカナ和名が定着している。
育て方
置き場所・日当たり

標高 2,000m 超の高山に自生し、強光と冷涼な気候に適応している。日本の平地での栽培では、夏の高温多湿が最大の障壁となる。生育期(春・秋)は屋外の日当たりのよい場所に置き、棚上で通気を確保する。日本の真夏(7〜8月)は直射を 30〜40% 程度遮光したうえで、サーキュレーターで風を絶やさないことが肝要。夏季の夜温が 25℃を超える低地での管理は特に難しく、冷涼地や標高の高い場所が向く。冬は強健な耐寒性を発揮し、乾燥状態であれば −10℃ 程度まで耐えるとされる。
水やり
春・秋の生育期は用土が乾いてからたっぷり与え、しっかり乾かすメリハリで管理する。真夏・真冬はほぼ断水、月1〜2回ごく少量に抑える。
用土
水はけ最優先、無機質中心で組む。赤玉土小粒:鹿沼土小粒:軽石 = 4:3:3 が基本。根が広がるため浅くて広めの鉢が合う。
肥料・活力剤
春・秋の生育期に薄めた液肥を月1回程度。与えすぎは葉の徒長とロゼットの乱れにつながる。控えめを基本にする。
温度・冬越し
生育適温 10〜24℃。自生地では雪と −10〜−20℃ を経験するが、栽培下でも乾燥前提で −10℃ 程度まで耐えるとされる。高温側の閾値が低く、日本の低地の夏は過酷。

実生のはじめ方
種の入手先
海外: Köhres / Mesa Garden / Succseed / Unusual Seeds / Cactus Store
国内 専門店: プラントブラザーズ / SEEDSTOCK / あるびの精肉店 / 奈良多肉植物研究会
国内 マーケット: ヤフオク / メルカリ / Yahoo!ショッピング
播種前の処理
殺菌剤(ベンレート水和剤・ダコニール1000など)と活力剤(メネデール等)を使用希釈率で混ぜた液に、種子を半日程度浸ける。水に浮いた種は鮮度低下が進んだものが多い。保管状態によって鮮度差が出るため、入手後はなるべく早く播種するのが安心。
用土
実生用に細粒・無菌寄りの用土を別に用意。赤玉土細粒:鹿沼土細粒:バーミキュライト = 1:1:1 で、電子レンジか熱湯で事前殺菌しておく。
播種方法
覆土なしか、種子が見え隠れする程度のごく薄い覆土に留める。種子間隔は 1cm 以上空け、密集を避けて重ならないよう並べる。
光・温度
明るい日陰で 18〜24℃ を安定維持する。発芽日数は 14〜30 日程度。発芽率は鮮度次第で大きく変動するが、新鮮な種なら発芽はおおむね安定する。
水やり
鉢底から 1〜2cm の腰水管理。最初の 2〜3 週間は乾かさないことを優先し、発芽が揃ってきたら水位を段階的に下げる。
肥料
発芽直後は不要。本葉が展開してから薄めた液肥を月 1〜2 回、規定の倍以上に薄めてごく控えめに与えるのが安全策となる。
発芽後〜植え替えまで
発芽〜本葉展開(〜1ヶ月)
腰水継続、明るい日陰で管理。
腰水卒業(1〜2ヶ月目)
水位を徐々に下げ、底面給水へ切り替える。
初回植え替え(1〜2年目)
根が鉢底まで回ったら、通常用土へ植え替える。
よくある失敗
カビ・立ち枯れ
- 原因: 用土の雑菌、過湿、通気不足
- 予防: 用土の殺菌、腰水の水換えをこまめに、サーキュレーターで通気を確保
夏季の衰退・腐り
- 原因: 高温多湿、夜温の高さ
- 予防: 遮光 30〜40%、風通しの確保、真夏の水やり量を最小限に
種が発芽しない
- 原因: 種の鮮度切れ、温度が高すぎる
- 予防: 信頼できる入手先を選ぶ、発芽適温(18〜24℃)を維持する
ロゼットの乱れ・徒長
- 原因: 光量不足、肥料過多、高温
- 予防: 十分な光と通風、施肥は控えめに
注意点
CITES 附属書 I 掲載種。野生株の国際取引は禁止される。


